より手軽に、効果的な予防を実現した3DS
虫歯や歯周病を予防するには、まずこれらの原因となる口腔内のバイオフィルム(プラークや歯石)を取り除くことが大切です。しかし、毎日の歯ブラシだけでこれをすべて除去することは出来ません。
そこで私たち歯科医師はみなさまに定期的な歯科医院でのクリーニングを呼び掛けてきました。しかし、実際はこのクリーニング後も、すぐにバイオフィルムは歯の表面に再形成され、再び虫歯や歯周病の原因菌の増殖につながっていました。
そこで歯科疾患の予防をより効果的に行うため、考えだされたのが3DSという除菌技術です。
3DSとは一人一人の患者さんの口腔内にフィットする歯列トレー(3DSトレー)を用いて、歯面の病原菌を効果的に除菌するというもの。ご自宅で手軽に予防ができ、高い予防効果を得ることができます。
3DSの効果
3DSは歯列にフィットするトレー内に抗菌薬を注入して装着し、歯面を除菌することで、虫歯や歯周病の発症や進行を抑えるために考案されました。しかし最近では口腔内から全身に悪影響を与える「歯原性菌血症」を防止するという効果も期待ができ、全身疾患の予防法としても注目されています。
歯原性菌血症について
歯原性菌血症とは、口腔内の傷口から血管内に虫歯や歯周病の菌が侵入し、全身に悪影響を与えてしまうものです。この歯原性菌血症が動脈硬化、心臓血管疾患、骨粗しょう症、生活習慣病、脳血管疾患、高脂血症などの原因になりうることが分かってきました。
また、口腔内に明らかな傷や口内炎がなくても、虫歯の穴や歯周ポケットも全身への細菌侵入の経路になると考えられています。
歯原性菌血症のリスクがあるかどうかを確認する方法として、うがいをして出した唾液の中に出血があるかどうかを調べる唾液潜血検査という方法もあります。
3DSの流れ
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STEP1.
口腔内の審査を行い、ご自身の歯列にあったトレーを作るために、型どりを行います。
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STEP2.
トレーが完成すると、調整をしてスムーズにご自身で着脱できるかを確認します。
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STEP3.
トレーを装着する前に、効果的に除菌を行うための歯面のクリーニングを行います。
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STEP4.
トレー内に薬液を注入します。虫歯になりやすい方、歯周病になりやすい方、それぞれの除菌したい細菌叢にあわせて薬液を選択することがあります。
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STEP5.
口腔内にトレーを装着して約3分間待ちます。歯にフィットするトレーなので薬が漏れることもなく、しみたりもしません。
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STEP6.
3分後、トレーを外して除菌完了です。作成したトレーと薬剤はご自宅でも使用することが可能です。
より効果的な除菌を行うために
作成したトレーは洗って繰り返し使えます。3DSは歯科医院で行うほか、一日1回~2回を目安に歯ブラシ後にご自宅で毎日続けて行っていただくとより効果的です。継続してご自宅でも3DSを行った場合、数ヶ月後にどのくらいの除菌効果がでているかを知るための唾液の細菌検査を行うこともできます。
謝辞
2016年から「3DSによる歯面除菌を行うことで、血管内皮機能に好ましい影響を及ぼすか」について検証するため、有吉歯科(日本橋)では鶴見大学探索歯学講座と連携して臨床試験を行っております。
これまで多くの方にご協力いただきまして誠に感謝しております。
今後も皆様のお口の健康に寄与できるよう、努めてまいります。